インコテックス(INCOTEX)の代表作として有名なのが2014年に誕生したN35です。品番35のモデルは、インコテックスが考えるパンツの基本の形です。 ヒップポケット部分の玉縁や、フロントの持ち出し部分などブランド設立当初から守られているサルトリアのディテールを今もなお備えながらも、時代に合わせてアップデートを続けている、いわば、進化し続けているマスターピースです。 そんな35シリーズの中で一世を風靡したJ35を、更に時代に合わせて進化させたモデルがN35です。 日本で非常に高い人気を誇り、惜しまれながらも廃番となったJ35で使用されたディテールをそのままに、イタリアで圧倒的人気の30のシルエットを組み合わせています。 腰周りにはゆとりをもたせながらも、膝から裾にかけては絞り込んでいるテーパードのシルエット、それに裾幅をタイトに仕上げてメリハリを持たせています。 前立て部分にはフィッティングを高めるための2本の持ち出しが付いており、背面のポケット部分にはボタンを付けるなど、各部でJ35のディテールを受け継いでいるのが、N35の大きな特徴だといえます。 腰が小さくて扁平な日本人に合わせてヒップを小ぶりにし、膝の位置が高く見えるように膝から上の部分をシェイプし、また、脚を美しく見せるために膝下からストレート気味にするパターンが採用されました。 また、ヒップトップの高さを抑え、バックスタイルをすっきりと見せる工夫もなされています。ウエストへとかかる負担を軽減させるためにウエストバンドの後部部分にV字のカットをほどこし、パンツを着用したときに折り目がまっすぐに落ちるよう、折り目を外側へと向けて入れる等、細部までこだわって作られたモデルです。 また、サイドポケット部分にはハンドステッチが入っており、フロントにはタッセルのチャームが付属しています。パンツをはく際にベルトを使用することが多い日本人仕様にしているため、通常より持ち出し部分は短くなっています。 N35は、日本をローマ字表記したNIPPON、イタリア語で新しい、という意味のNuovoを表しています。 日本において圧倒的支持を受けていたJ35ですが、世のパンツのトレンドがタイトになる動きに反応し、タイトフィットモデルである30の人気が上回るようになりました。 そして、数多くの小売店から30モデルほどタイトでなく、しかしながらタイトフィットの美しさを残しつつフォーマルなドレス仕様のモデルが欲しい、という声があがるのをインコテックスが聞きつけたのが、N35が生まれた背景です。
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