ドクターマーチンの誕生

世界中から長年愛され続けている、知る人ぞ知る革靴ブランドのひとつがドクターマーチン(Dr.Martens)です。 黒や赤などの革色に、靴紐を編み上げのスタイルが印象的なドクターマーチンは、日常用にはもちろん、ミュージシャンやファッション業界でも親しまれ、その存在価値を広げていきました。 ドクターマーチンの革靴の誕生は、あるひとりの医師から始まります。クラウス・マルテンス(Klaus Maertens)は1915年、ドイツで眼科医を営んでいる家の息子として生まれました。 この当時世界では、第一次世界大戦が始まった時代です。家業が医者であったことや、戦争が勃発するさなかだったことなどの要因もあり、クラウス・マルテンスは軍事医師を目指すことになります。 第二次世界大戦では、軍事医師として戦地へ派遣され、戦火を生き延び帰国を果たしました。1948年になり、クラウス・マルテンスは33歳になりドイツ ミュンヘンで開業を考えます。 しかしミュンヘンでは、戦争で焼きだされ居場所を求める医師が大勢いる状況です。このことに気付いたクラウス・マルテンスは、開業を諦めます。 この当時、ドイツやヨーロッパ各地では大変な物資不足に陥っていました。中でも靴は求める人が多い、物資のひとつです。それを知ったクラウス・マルテンスは、学生の頃に製靴を少しだけ経験したこともあって、靴を作ることに奮闘し始めます。 靴を作るために必要な素材を集めることが容易ではない状況下で、アイディアを振り絞り考え付いたのが、廃棄されていた軍事用のコートです。このコートを靴のアッパー用の革の代替えにすることにしました。

ソールへのこだわり

クラウス・マルテンスが靴作りで最も重要視した点がソールです。自身が足やひざに古傷を持っており、その部分をカバーできる靴を考えるにあたり、ソール部分が重要と思っていたからでした。 廃棄用のタイヤをソールに使用することを検討していた時、クラウス・マルテンスはプラスチックの新しい技術を学ぶヘルベルト・フランク(Herbert Frank)に出会います。 彼との共同開発によって、油を主原料にしたPVCと呼ばれる新素材を利用し、軽量でエアクッションを導入したソールを生み出します。このソールは、世界で初めてのエアソールとなり、現代にも続く技術の基盤になります。 廃棄された軍事用コートのアッパーに、PVCのソールを合わせた靴は、瞬く間に民衆の人気を集めました。

本格的な製靴業のはじまり

1952年には、二人で工房を構えることになります。ここから50年代中で、約200種類ものデザインを考案し販売されています。当時の購入者の8割が、40歳以上の女性でした。ドイツではこの時期、お金をマルクに変更し発行していた時代で、国民の生活も随分安定し、二人のビジネスも順調に進んでいきます。 このような激動の時代の最中で、クラウス・マルテンスは医師としての感覚を元に、現在に続くドクターマーチンの革靴の原型を作りだすことに成功し、製靴業を進め始めたのでした。
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