エディ・スリマンの退任

2016年4月1日、2012年のクリエイティブ・ディレクター就任から4年間にわたり、独自のロックスタイルとヴィジュアル戦略でブランドに新たな風を吹き込み、メゾンの歴史に大きな変革をもたらしたエディ・スリマンの退任が発表されました。 エディはサンローランでのラストコレクションとして、2016年秋冬のメンズコレクションでは、ロサンゼルスのロックの殿堂ハリウッド・パラディウムにて集大成のようなスタイルを存分に披露した一方、2016年秋冬ウィメンズコレクションでは、約3年の年月をかけて完成させたクチュールハウスにて、ムッシュ・イヴ・サンローランによるクチュールショーのような演出をしました。4年間の間、サンローランの世界観を大事にしながらモダンな息吹を吹き込んだ、エディらしい最後を飾ったと言えるでしょう。

後任アンソニー・ヴァカレロ

そして後任には、かねてから噂となっていた、ヴェルサス・ヴェルサーチのクリエイティブ・ディレクターを務めていたアンソニー・ヴァカレロが就任することになりました。 日本ではまだ馴染みのないデザイナーではありますが、エディの後任として今後間違いなく注目されるアンソニー・ヴァカレロとは一体どういった人物なのでしょう。 アンソニー・ヴァカレロは1982年、イタリア人の両親の元、ベルギーのブリュッセルで生まれます。学生時代は法律学校で過ごした経験を持つなど、学術的な道を歩んできました。 その後、芸術に魅力を感じるようになったヴァカレロは、美術とデザインにおいてベルギー屈指の教育機関である、ブリュッセルのベルギー国立ラ・カンブル視覚芸術高等専門学校に入学し、彫刻の勉強を始めます。 卒業後の2006年、フランスのイエール国際モードフェスティバルにて大賞を受賞します。 そこでカール・ラガーフェルドの目に留まり、フェンディのデザインチームにて2年ほど経験を積むことになります。 2008年独立をし、パリに拠点を移し、自身のブランド、アンソニー・ヴァカレロをスタートさせ、2011年にパリのファッションウィークデビューを果たします。

ヴェルサス・ヴェルサーチとのコラボの成功

2014年には、コラボレーションデザイナーとしてヴェルサス・ヴェルサーチ(ヴェルサーチのセカンドライン)のカプセルコレクションをニューヨークで発表します。 このコレクションは発売直後に完売し、話題となりました。 そしてこの成功をきっかけに、2015年秋冬シーズンより、ヴェルサーチのアーティスティック・ディレクターであるドナテッラ・ヴェルサーチの監修の下、ヴェルサス・ヴェルサーチのアクセサリーを含むメンズ、ウィメンズの両ラインを担当するクリエイティブデザイナーに就任します。 そして、エディ退任報道から3日後の2016年4月4日、サンローランのクリエイティブ・ディレクターへの就任が発表され、同時にヴェルサス・ヴェルサーチの退任も発表されました。

ヴァカレロによる新生サンローラン

ヴァカレロが手掛けるサンローランのコレクションは、10月に開催される2017年春夏ウィメンズ・パリファッションウィークで初めて披露される予定となっています。 ヴァカレロは、ヴェルサーチのドナテッラ・ヴェルサーチが、セクシーでダイナミックかつ大胆さも持つヴァカレロのデザインに感銘をし、ヴェルサス・ヴェルサーチの舵取りを任せたほどのデザイナーです。 シャープなテーラリング技術と独特なカッティング技術を併せ持ち、ヴェルサーチの特徴を生かしながら、ボディラインの形を活かしたスタイルや、フレッシュな露出が多いスタイルなどを多く発表し、高い評価を得てきました。 サンローランにおいてもメゾンの代表的な特徴を生かしながら、そのシャープなテーラリング技術を存分に活かし、自分らしい形を作り上げていくことでしょう。 全世界が注目するヴァカレロの手掛ける新生サンローランはこの秋最大の話題となるに違いありません。

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