シャネルはシャネルでも、「ヴィンテージシャネル」(Vintage Chanel)または「オールドシャネル」(Old Chanel)と呼ばれるジャンルがあります。
ヴィンテージならではの味わいを好むファンもいますし、ヴィンテージシャネルだけを専門に取り扱うショップもあるくらいです。
「ヴィンテージ」と「アンティーク」の違い
美術品や家具、時計などで、古い物を指す時によく使われる言葉には、「ヴィンテージ」や「アンティーク」などがあります。この2つの言葉は似ているようで、実はアメリカの関税法では明確な区別がされています。
製造が現在より100年以上さかのぼった物でかつ、芸術、美術的な価値があるものを「アンティーク」。一方で20年前後から100年以内の物を「ヴィンテージ」と定めていますが、日本においては明確な定義がないのが現状です。「ヴィンテージシャネル」と呼ばれるものは、おおむね20年以上前のモデルが該当することが多いようです。
不動の人気
ヴィンテージシャネルの最大の特徴は、既に古いモデルですから、トレンドに流されない、型落ちになる心配がない、という点です。
現行のモデルの場合どうしても、1年も経つと「あれ去年のモデルだ」などと言われてしまうことがありますが、元々ヴィンテージなら何十年も前の型なので、そんなことを気にしなくて良いというわけです。その古さを時代遅れとしてではなく、クラシックな良い物として捉えることができる点も、ポイントと言えるでしょう。
人と被らない魅力
現行で販売している、していたモデルになると、他人とかぶりやすくなってしまいますが、何十年の前のヴィンテージシャネルなら、流通している量が少ない上、現在では廃版となっているモデルも多く、なかなか人と被るようなこともありません。そのため、他人のかぶらない個性を主張したいセレブを中心に人気が高まったのです。
他にもオールドグッチなど、様々なブランドのヴィンテージバッグが存在しますが、年代を経たモデルでここまで価値を評価され良い価格がついているのは、シャネルくらいと言ってもいいでしょう。
手頃な価格
シャネルではファミリーセールやアウトレットなどを開催しないため、世間に出まわる数が限られている、というのも値崩れを起こしにくい理由でしょう。それでいて、実際のところ新品よりは安く済む、というのがヴィンテージの利点です。
もちろん中にはプレミア価格が付くような、本当にレアなシャネルなどもあります。ですが大半のヴィンテージシャネルは、正規品定価より2~3割か、もしくはそれ以上安くなることもあるので、手に入れやすいのです。
新品に負けないクオリティ
もうひとつ、これは一概に言い切れない部分もありますが、古いシャネルのほうが作りが良い、という人もいるようです。
ヴィンテージショップのオーナーや、バッグの専門家の中では、チェーンやCCマークなどの金属パーツが、古い物のほうがしっかり金でコーティングされている、という意見もあるのです。つまり、長く使い込んでも、経年変化が少ないということです。
車などでも、絶版になったモデルを丁寧に手入れして乗っている、旧車マニアのような人たちがいますが、今の時代にはない味のあるデザインと風格を漂わせる車が、最新の車たちに混じって走っているのを見ると、唯一無二の存在感を放っています。
バッグでも同じような感覚を楽しめるヴィンテージシャネルは、ファッショニスタの個性を演出する選択肢として、ひとつ持っておいてもいいアイテムと言えるかもしれません。また、もう使わないとなった場合には、もったいないと考えていつまでもタンスの肥やしにしておくよりは、人気が高まって中古買取の相場も高騰しているタイミングで売りに出すのが良いでしょう。