エルメスの革への強いこだわり

馬具を中心とした革製品から始まったエルメス。世界のトップに君臨する高級ブランドとして、素材である革の品質へのこだわりは並外れたものがあります。 エルメスのバッグが生み出されるアトリエには、革保管部があり、世界中から取り寄せられた上質な革が、温度や湿度に細心の注意を払って保管されています。 取り寄せる革は、例えばフランス国内でも高級カーフのなめしで世界的に有名なタンナーであるデュプイ社など、妥協することはありません。 エルメスの製品を作る際に使われる革の部位は、ごく限られています。牛革の場合、首に近い部分の「ショルダー」、背中にあたる「バット」、お腹に近い部分「ベリー」などに分類されますが、エルメルで使用するのはバットの部分だけだと言います。 しかも、一切の傷がないものを使わなければならず、それは、1万頭から30枚ほどしか取れないパーツだとも言われています。 その最上級の革を使って、一人の職人が最後まで責任をもって一つのバッグを仕上げていきます。例えばケリーならばひとつ作るのに、熟練した職人でもおよそ20時間ほどはかかるそうです。 一人の職人が一つのバッグを受け持つ、これはエルメスのアトリエでは大切なルールで、製作者のサインを入れることで、修理の場合にもその職人が責任をもって担当します。 エルメス使われる革のバリエーションは大変な数にのぼりますが、牛革で代表的なものには次のような種類があります。

トリヨンクレマンス(Taurillon Clemence)

オスの牛をそのまま使った革で、トゴと同等か少し大きめの程良い革目が特徴です。適度な張りがあり、キズや擦れには強い素材です。使い込むほどにまじみますが、水分にはあまり強くないため、濡れたらすぐ拭き取るなど、ケアをしたほうがいいでしょう。

トゴ(Togo)

1997年から使われるようになったトゴ。正式には「ヴォー・クリスペ・トゴ」と言います。オスの子牛の革で適度な柔らかさがあり、傷や擦れにも強いため、使いやすく人気の高い素材です。やや深めではっきりとして細かい革目が特徴です。

ヴォーエプソン(Veau Epsom)

エルメスで過去に人気の高かったクシュベルが廃版となったあと、後継として2003年に登場したのがこちらのヴォーエプソン。キメ細やかな革目の型押しが施されており、比較的硬めですが軽量で持ちやく、型崩れしにくいのが魅力です。

フィヨルド(Fjord)

メスの子牛革を使用した素材で、正式には「ヴァシェット・クリスペ・フィヨルド」と呼ばれます。トゴよりは柔らかく革目もソフトで大きめ、しっとりとしたマットな質感と、傷や擦れに強く防水性が高いのが特徴です。

ヴォースイフト(Veau Swift)

オスの子牛を使用した革で、特殊な機械でなめしたキメの細やかな革目が特徴です。ヴォーガリバーの後継として登場しました。柔らかいながらも程良い弾力があり、小さなキズであれば、お手入れなどで目立たなくすることが可能です。また、発色の鮮やかさも魅力です。

ヴォーバレニア(Veau Barenia)

オスの子牛を使ったスムースレザーがこのヴォーバレニアです。最初はマットな質感ですが、使い込むほどに革の油分で艶やかな光沢が出てくるようになります。比較的防水性も高い素材です。ただし、傷には注意が必要です。

クシュベル(Couchevel)

正式には「ヴォー・グレネ・クシュベル」。オスの子牛革から作れる素材で、光沢のあるガラス加工が施されていました。傷や擦れに強く、防水性もあるため、大変扱いやすく人気の素材でしたが。現在は廃版となっているため、手に入れるには中古を探すしかありません。

アルデンヌ(Ardennes)

フランス北部からベルギー南部に位置するアルデンヌ地方のメス牛の革を使った素材。プレス加工を施して、つぶしの効いた型押し模様が特徴的です。現在は既に廃版で2004年に登場したヴァッシュリエジェ(こちらも廃版)に後継されました。

ボックスカーフ(Box Calf)

生後6ヶ月までのオスの子牛の革を使用。液体に浸け込むなめし時間が短めで、しっかりとした硬さ、上質な質感と艶やかな光沢があります。また、一定方向へと流れる繊細なシワ模様「水シボ」が特徴的です。1890年代のイギリスの靴屋、ジョセフ・ボックスの名に由来しています。

ネゴンダ(Negonda)

2007年から登場したオスの仔牛を使った革です。主にガーデンパーティーに使われることが多いようです。

エバーカラー(Evercolor)

2013年から使われるようになった素材。バッグ類よりは、財布などの小物でメインに使われる素材です。   その他、現行では2011年登場のソンブレロ(Sombrero)、タデラクト(Tadelakt)、ヴォーデルマ(Veau Derma)、ヴォーシャモニー(Veau Chamonix)、廃版ではヴォーグレネ(Veau Graine)、リセ(Lisse)などがあります。 牛革ひとつとっても、表面の革目の具合、艶感や光沢、柔軟性、耐久性、防水性、経年変化など、それぞれに違う個性があります。持つバッグの種類や使うシーン、合わせる色などで選択肢が多いのも、エルメスが選ばれ続ける所以なのかもしれません。
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